月と二柱の大神

昨日から、気分が不安定でヤな感じで困った。
ふと、窓を見ると、丸く輝く月が出ていた。
まるで鏡のようだ。
ああ満月だったのか。
なっとく。

７月から、窓にはすだれを下げているので、月が出ていても
満月かどうか分からなかったのだ。
どうやっても満月が苦手だ。
不快感が年々強くなる。
身体が先に反応するのだから堪らない。
別に眺めていても、ゾッとするとかそう言う事は一切ない。
ああ綺麗だな、と普通に思う。
思うのだが、観ていないときの方がはっきり分かる。

月をお治めになる月読尊はどんなお方だろうか。
記紀にはわずかにしか出ていらっしゃらない。

建速須左之男命（タケハヤスサノオノミコト）は怖くない。
素盞鳴尊（スサノオノミコト）はちと怖い。
元は同じ神なのに、お顔を向ける方角でご性質がお変わりになる。

天照大御神が保食神（ウケモチノカミ）に月読尊をお遣わしになられた時、
保食神は月読尊をもてなそうと、お身体のありとあらゆる場所から
ご馳走を取りだしてご覧に入れた。
だが、これを目の前でご覧になった月読尊は、
『けがらわしい！』と大変にお怒りになられ、
保食神をその場で斬り殺してしまわれたのだった。
保食神は『豊』そのものの神であらせられるのだが、
月読尊はその事をまだご理解ではなかったのだ。
それにしても、この短気なご気性は素盞鳴尊そのままであらせられる。

素盞鳴尊・月読尊＝悪神と言う方もいるがそれは間違い。
エネルギーがあまりに巨大・強大であるがゆえに、
ちょっとでも『動く』と、爆発なさるのだ。

月は静かだ。
満月の静かさは恐ろしいくらい。
それは、素盞鳴尊の激しさの裏返し。
鏡の裏と表だ。
だから、尚のこと怖い。

『海』も同じかもしれない。
静かな海はどこまでもたおやかでお優しい。
反面、嵐と真夜中の海はかなり恐ろしい。
だが、海と仲良く出来てもお月さまと仲良くするのは難しい。

怖れ、敬い、距離を持って崇める。
わしの、お月さまとのスタンス。
次の満月は10月4日。
今度はちゃんと気を付けようっと。