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しまねこです。天皇陛下と皇室の存続と繁栄を一番に願う者ですが、しばし政治ネタはお休み。縁の下の力持ちになる方法を探って行こうと思います。
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【黒部源流 雲ノ平三俣山荘・雲ノ平山荘・水晶小屋・湯俣山荘公式サイト】

神がくし?(三俣山荘オーナー伊藤さん)

カベッケでキャンプをした金沢大学医学部の学生I君、S君、B君の3名は、
夕方雲ノ平山荘に着いた。
彼らは疲れていたので、小屋へ着く手前、
約10分の所にリュックを1つ置いて来た。
そこで一番元気の良かったI君が1人でそれを取りに行った。
それきりいなくなってしまったのである。

天気は良かったし、暮れるにはまだ十分に時間があった。
小屋から10分といえば、万一の時でも呼べば聞こえるところである。
他にも登山者は大勢いた。
I君がいなくなったといって騒ぎ出したのは暗くなってからだった。
小屋の者がライトを持って行ってみると、
リュックはそのままのところに置いてった。
そしてそこはまさに白骨のあるヤブの入り口だったのである。

ただちに捜索が開始された。そのとき小屋にいた登山者の中から
十数名の協力を得て、営林署四名、小屋の者十名、
それにS君、B君、その他合わせて四十名以上の人数が動員された。
まだ遠くへは行くまいと言うので手分けをして、大声で呼びつつ、
夜のうちに雲ノ平のほとんど全域を歩きつくしたが、
なんの手がかりも得られなかった。

考えれば考えるほど不思議なことだった。
小屋から目と鼻の先で、白昼突然人間がいなくなった。
その後もひきつづき天気は良かったから、
どこにいても小屋の方向ぐらいはわかっは筈である。
シーズン中だったので各所に登山者がいた、誰かが会わないはずはない。
飛行機も飛んだ。それに大勢でくまなく探したのだ。
私はI君が自殺をする恐れはないのかとS君らに聞いてみたが、
「絶対にI君はそういう男ではない」と彼らは自信ありげに答えた。

その翌日も同様だった。もう我々は考えようもなくなっていた。
忍術使いのように消えてなくなったとしか思いようがなかった。
四日目の朝。
今日は捜索隊が出発しようとしている小屋の玄関へ、
当のI君が、ふらっと帰ってきた。

S君とB君は、
「おおっ!I君。どこにいたんだ」
と、I君に飛びついて、ワッと泣き出した。
「小屋にいたんだ」
と、気の抜けたようなI君は答え、
「おいガソリンは無いか」とか
「俺のズボンはどこへいった」とか言っている。
良く見ると彼はズボンを二枚履いていて、その一枚を探しているのだ。
"これは休ませなくてはいけない"と私は思って、何も聞かずにI君を眠らせた。
半日ぐっすり眠った彼は、まったく正気な人間だった。
そして彼の話はこうだった。

小屋から出て、リュックを置いたところの近くまで行くと、
霧がかかってきて方角が分からなくなってしまった。
それからあとは、ただ小屋へ帰ろうと思って
ヤブの中を歩き続けたことだけしか記憶にないと言う。
さらに彼のことばをよく聞いて判断すると、
霧は白骨の方からかかってきたらしい。しかし不思議なことに、
そのころ雲ノ平で霧を見た者は1人もいないのである。
そしてヤブの中を歩いて最後に出たのは、カベッケだった。

そこでキャンプをしていた人たちの中へ入れて貰って最後の夜は過ごし、
早朝、雲ノ平へ戻って来たのである。
そして彼は、
「今になって考えてみると不思議です。昼も夜も、いつも4人で、
話し合ったり、僕のもっていた乾パンを食べたりしながら歩いていたので、
少しも寂しくありませんでした」

と言う。
いったい彼の他の3人はなんだったのだろうか。

※カベッケ:河童が出ると言う笹原

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